弘法市潜入記1 (画像あり)

03年5月。
アンティーク着物に興味を持ち始めたわたしは、本やネットでよく見かける「弘法市」というのが非常に気になっていた。
なんでも京都で行われる骨董市で、よく業者も買い付けにくるという本格派らしい。
アンティーク本では
「銘仙の着物:1000円(弘法市)」
というようにさりげなく、しかしかなりの頻度で登場しているのだ。しかも安い。
このお値段はかなり気になる。
というわけで、行ってみることを熱く決意する。

さっそく調査開始。
ふむふむ、「京都で毎月21日やっている」
って、曜日関係ないじゃん!社会人にはつらいよ。今月は21日水曜だし。
しかしこの問題は「私用」として休みを取ることで解決。
良かった、こんなときには休みの取りやすい会社で。土曜の出勤はやたら多いけど。
場所が京都というのは問題ない。わたしが住んでいるのは奈良だから、一時間ちょっとでいける距離だ。このときほど関西在住をありがたく思ったことは無い。
さて、開始時刻は・・・
「日の出~日の入り」
なに!なんて本格派だ。さすが昔から続く伝統的な市だ。しかしそれなら早く行かなくては、いいものは業者にとられてしまう。
とりあえず最低でも5時起きだな。

当日。目覚まし時計の音ですぐに目覚める。一発で起きるなんて平日ならありえないことだ。やっぱり楽しみなことだと違うなあ。会社が楽しみなら毎日早く起きられるのだが。

家族を起こさないようこっそり準備して出かける。
服装はジーンズで。お財布なんかはすべて肩かけポーチにいれて身軽にする。でも多分たくさん買っちゃうから(断言)、肩にかけられるような布袋と、その中に紙袋も折りたたんでいれておいた。私にしては珍しく用意がいい。

そして出発。朝日を見ながらバスを待つ。
バスの始発時刻に合わせたので、電車の始発には乗り損ねてしまった。それでも早いのから3番目だけど。うん、出だし快調!

電車に揺られながら、足りない睡眠を補う。京都に着いたのは7時過ぎだった。
弘法市の行われる東寺のアクセス方法として、よく「東寺駅下車」とかいてあるが、通の人のHPを見たら「京都駅で降りたほうが、人が少なくて行きやすい」とあったのでそっちを信用してみる。どっちでも私には電車賃はかわらないしね。

の八条出口から出たのはいいけど、どっちに進んでいいか分からなくなってしまった。とりあえず思う方向(右側)に進んでみる。まだ朝早いから他に市へ向かう集団もいないし。心細い。が、10分ちょっと歩いたところで到着。

入り口ははっきりいって「え、これ?」みたいな小さい門だった。でも露店が出ているのでそれと分かる。
門に一歩踏み入れて「来た、来た、キター!弘法市!!」と一気に気分が高まる。
とりあえず着物だ、着物。

ちょっと歩くとすぐに着物発見。
でも値札がついていない。初心者だからなんか怖い。そんなに気になる着物もなかったし、とりあえず他行いってみよう。
それで今度は横のお店をチェック。着物をよく見るより先に、ついていた値札をさりげなく見る。10000円!高ッ。
私は市をなめていた。安い着物なんてそうそうあるもんじゃないのかな?と不安になる。
さらに進むと銘仙着物をいっぱい広げているお店に遭遇。その中のピンクの水玉着物に思わず目が行く。あの有名な「KIMONO道1」で表紙のマリ子ちゃんが着ているようなヤツだ。でもやっぱり値札はついていない。
ドキドキしながら私は初めてのセリフを言ってみた。
「これいくらですか?」
なるべく物欲しげな顔をしないでさりげなく訊いたつもりだったけど、成功はしていなかった気がする。目がマジだったから。
おばちゃんの答えは「それか、5000円。やっすいもんやで~」
うん、確かにお店に比べれば、それでも安いほうなんだろうな。しかし今日の予算はだいたい一万円。これを買ったら、もうほとんどお買い物できなくなってしまう。
しかも店のおばちゃんも、いかにも足元見てるって感じだし。とりあえずやめにする。

なんかせっかく楽しみしてきたのに、自分は一枚も着物を買えないのではないかと思うと悲しくなってきた。
でも、気を取り直して次へ。

さらにずんずん歩いていくと、あった~。こういうのを待ってたんだよ。
商品に全部値札がついていて、しかも安いお店!初心者にはありがたいお店。
ここで青い単衣の銘仙を発見。可愛い。
                 きもの16
                ↑1500円なり
落ち着いて裄や丈をチェック。シミがないかも確認する。うん、いいんじゃないかな?そして初お買い上げ。
ああ、きてよかった。これぞ弘法市だ。満足感をかみしめる。

そして勢いづいた私。
次の母娘で商売をされているお店へ。このお店は京都でお店をだしていて今日は出張してきたらしい。
私が見ているといろいろ親切に話し掛けてくれる。羽織らしてもらって丈を見てもらう。ここはお値段はまあまあだけど、状態のいいものをおいていた。
そしてオレンジの花柄銘仙と半幅帯を購入。ちょっとまけてもらう。あら?なんか市を堪能してるっぽくない?私。
   きもの19 帯

   着物:なんか若々しい感じだ。3000円。
   帯 :ちょっとゴージャスめな半幅帯。1500円。

次に500・1000・2000円とダンボールでわけて売っているところを発見。
他の人が紫の銘仙を持っているのを発見。はっ、それ素敵☆しかしその人は迷っているようである。「はなせ~、はなせ~!」と念じつづけてしばし。着物をはなした瞬間「もらった!」と手にとる私。もう、はなしまへんで~。
しかしよく見てみるとちょっとシミがあったのだ。それであの人は手放したんだろうか?でも着たら隠れる部分だったし、柄が気に入ったので購入。
                  きもの21
              2000円。ちょっと大人っぽく。

続けておばあちゃんがやっているお店へ。
そこでピンク地に、幾何学模様が入っている可愛い着物を発見。でも値段が書いていない。
高いんだろうな~、でもすごく気になる!勇気をだして訊いてみる。
「それ?1000円」
安ッ。思わず「安いですね!」と言ってしまった。
そのときのおばあちゃんの顔が微妙に後悔していたように見えた。(気のせいかもしれないが、次の機会に行った時、なんか少し値段があがっていた気がする。)
                  きもの24
↑この着物、ほとんど袖を通していないような状態のよさ。袖と裾の部分に濃い赤のリボン?が縫い付けられているのだ。なんてお洒落!
多分誰も買っていなかったのは、まだ朝早いのと、丈が短くて着れなかったからだと思う。よかった、ちびっ子で。
これで、最初に迷っていた5000円の着物を買わなくてよかった、と思えた。次に行ったらもう売れていたけど。

着物を買って満足したところで、小物を探す。可愛い3種類の下駄を900円で売っているところを見つけた。どれも可愛くてかなり迷っていると、カップルがやってきた。

彼女:「やん、可愛い下駄~。どれにしようかな」
彼: 「それにするん?おばちゃん、これいくら?」(そして1000円札を渡す。)
彼女:「え?」
彼: 「俺からのプレゼント」

といった会話をくりひろげて去っていった。気になっていた黒塗りの下駄を買って。
「・・・・・・・」
残りの2つを買い占めた。↓                  
                 きもの27
                  

あとは青いブローチ(帯留につかえるかと思って)と、半襟用にハギレを購入。
荷物が重くなってきたところで、買い物終了ー!

骨董市初体験にしては上出来かな?これはヤミツキになりそうです。


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